第1-1章:コンサルティングファームの分類と特徴
コンサルティングファームと一口に言っても、その出自、得意領域、クライアント層、解決するイシューは大きく異なります。転職活動において、「自分がどの分類のファームを目指すのか」を明確にし、それぞれに合わせた志望動機と対策を用意することが内定への第一歩です。ここでは主要な8つのジャンルを詳細に解説します。
1. 主要コンサルティングファームの8大分類
① 戦略系コンサルティングファーム
企業のトップマネジメント(CEOや取締役会など)を対象に、全社レベルの中長期的な成長戦略、M&A、新規事業立案、グローバル展開、組織再編などの最上流の経営課題(アジェンダ)を解決するファームです。
代表的なファームには、マッキンゼー、BCG、ベインなどがあり、少数の精鋭チームで短期間に付加価値の高い提言を行うのが特徴です。
② 総合系コンサルティングファーム
戦略策定から業務プロセス改革(BPR)、ITシステムの導入・定着化、さらにはアウトソーシング(BPO)の受託まで、企業のバリューチェーン全体を一気通貫で支援する大規模ファームです。
代表格はアクセンチュアやデロイト、PwCなどで、数千名から数万名規模のコンサルタントを抱え、組織力と豊富なナレッジを用いて大規模改革を実行します。
③ IT系コンサルティングファーム
IT戦略の立案、クラウド移行、ERP導入、セキュリティ対策、ビッグデータ解析など、最新テクノロジーを活用したビジネス変革に特化したファームです。
システム開発(SIer)の上流工程を担うだけでなく、テクノロジーによる新しいビジネスモデルの創造を主導します。代表例は野村総研(NRI)やフューチャーアーキテクトです。
④ 組織人事系コンサルティングファーム
人事制度設計(等級・評価・報酬)、タレントマネジメント、組織開発、企業文化改革、M&Aに伴う人事制度統合(PMI)、グローバル人事戦略など、「ヒトと組織」に特化した支援を行います。
経営戦略を推進するための「人間」のモチベーションやルール設計を科学する専門部隊です。マーサーやコーンフェリーが有名です。
⑤ FAS(ファイナンシャル・アドバイザリー)系ファーム
M&Aアドバイザリー、企業再生、不正調査、バリュエーション(企業価値評価)、財務・税務デューデリジェンスなど、主に財務・会計の高度な専門性を軸に経営支援を行うファームです。
公認会計士や金融出身者が多く、ディール(取引)の成立や危機の克服に向けた財務助言を行います。デロイトFASやKPMG FASなどが代表例です。
⑥ シンクタンク系ファーム
官公庁向けの政策提言やマクロ経済の調査を行うリサーチ部門と、民間企業向けの経営コンサルティングを行う部門が融合したファームです。
大手企業グループ(金融・重工業等)を母体に持つことが多く、三菱総研やみずほ総合研究所(旧みずほリサーチ&テクノロジーズ)など、堅実なデータ分析と国策プロジェクトへの強い関与が特徴です。
⑦ 医療・ヘルスケア系特化型ファーム
病院・医療法人の経営改善(診療報酬の最適化、病床稼働率の向上)から、製薬会社や医療機器メーカーの新規参入戦略など、ヘルスケア業界に特化した支援を行います。
医療法などの複雑な規制とドメイン知識を持つ専門家で構成されています。
⑧ 特定機能・テーマ特化型ブティック
サプライチェーン(SCM)、マーケティング、知財戦略など、特定の専門領域に特化することで、大手に負けない深いソリューションを提供するファーム群です。
2. 各ファーム分類のビジネスモデルの比較
| 項目 | 戦略系ファーム | 総合系ファーム | IT・特化系 |
|---|---|---|---|
| 平均プロジェクト期間 | 2ヶ月〜4ヶ月(短期集中) | 6ヶ月〜数年(長期並走) | 3ヶ月〜1年以上 |
| プロジェクトの目標 | 進むべき方向性の提示・意思決定 | 業務変革・システム定着と稼働 | 特定技術や機能の高度化実装 |
| 主なアサイン人数 | 3〜5名の少数チーム | 数十名〜数百名の大規模体制 | 5〜15名の中規模チーム |
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